2025.11.24 00:14「原始林」の誌面より(2025年11月)2025年11月号 ≪ 連載 ≫ 歌集散策 井原茂明 永井陽子歌集『なよたけ拾遺』 永井陽子は1954年生れ。2000年死去、享年48歳。歌集に『樟の木の歌』、 『ふしぎな楽器』,『モーツァルトの電話帳』、『小さなヴァイオリンが欲しくて』 などがある。『なよたけ拾遺』は永井陽子二七歳のときの歌集である。 若くして父を失い、母と二人の暮しの中、私性を遠ざけ非日常の世界に韻を刻む。 石川美南編の『永井陽子歌集♯』より選びだした。今回はその(2)について紹介する。 ブラウスも髪もわが身もけぶり透くこのみどり人殺めしみどり ( 緑陰 ) かそかみづおと森の土偶のくらき眉こほれるをいま風はとくらむ (邪鬼の見たもの) か...
2025.11.05 23:33「原始林」の誌面より(2025年10月)2025年10月号 ≪ 連載 ≫ 歌集散策 井原茂明 永井陽子歌集『なよたけ拾遺』 永井陽子は1954年生れ。2000年死去、享年48歳。歌集に『樟の木の歌』、『ふしぎな楽器』,『モーツァルトの電話帳』、『小さなヴァイオリンが欲しくて』などがある。『なよたけ拾遺』は永井陽子二七歳のときの歌集である。若くして父を失い、母と二人の暮しの中、私性を遠ざけ非日常の世界に韻を刻む。石川美南編の『永井陽子歌集♯』より選びだした。今回はその(1)について紹介する。 いつの世の昔語りの竹の里 をさなきひとのまみに照る月 (なよたけ拾遺) わがかげをわれらたがひに見失ふ野にほうほうと春を呼ぶこゑ ( 〃 ) 逝く父をとほくおもへ...
2025.09.18 01:24「原始林」の誌面より(2025年9月)2025年9月号 ≪ 連載 ≫ 歌集散策 井原茂明 小島ゆかり『はるかなる虹』(5) 小島ゆかりは1956年生れ。コスモス短歌会の選者、編集人。『はるかなる虹』は第16歌集である。2020年歳晩から2024年新春までの作品のなかから468首を収めている。 今回はその(6)について紹介する。 いま風の向きが変はって横顔の鳥、横顔の樹木うつくし (いま風の向きが変はって) 知らぬ間に世はすりかはり小綬鶏がChatChatGPTと鳴く ( 〃 ) 街路樹の若葉のそよぎなまめきて両性具有の夜が降りくる( 〃 ) 存在の断片が時の断片が過ぎゆける雨のスクランブル交差点(...