2020.02.10 12:47「原始林」の誌面より(2月)2020年2月号の誌面より ≪ 連載 ≫ 歌集散策 笹井宏之歌集 『 ひとさらい 』 井原茂明 『ひとさらい』は笹井宏之の第一歌集である。第二歌集に『てんとろり』がある。 2009年 26歳逝去 夭折の歌人である。高校生の頃から重度の身体表現性 障害という症状を持つ。タイトルの「ひとさらい」には人の心をさらう、浄化す るという意味合いを含ませているようだ。2009年「笹井宏之賞」が創設され、 その才能があらためて脚光を浴びている。 ・二十日まえ茜野原を吹いていた風の兄さん 風の母さん (うすくみたす) ・えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力を下さい ・蛾になって昼間の壁に眠りたい 長い刃物のような...