2020年5月号の誌面より
≪ 連載 ≫
歌集散策 花山多佳子歌集『 鳥影 』(2) 井原茂明
花山多佳子は「塔」の選者であり、父は超空賞歌人の玉城徹、長女も歌人の花山周子
である。『鳥影』は花山の第11歌集である。
日常のごくありふれた事柄に軸を置き、花山流の薄い「隠し味」を施していることに
特徴があると思う。
今回は『鳥影』の後半を紹介させていただく。
ポーチュラカの茎切りて土に挿し置けば子どもの描いた絵のやうに咲く
(ゐないゐない ばあ)
片親といふ言葉消えてひとり親といふ ひとり子といふ感覚に (水平なひかり)
抽斗をあちこち開けてゐる夢に祖母が通りぬ叔母が通りぬ ( 〃 )
眠りかけしわがかたはらにフランス語こゑやはらかに息子つぶやく ( 〃 )
思ってもみないことなり小高さん七十代を生きることなし ( 訃報 )
ポール・ニューマン、ピーター・オトゥールに酔ひながらプロパガンダと思ふことなし ( 暮らす )
「なにしてんの」子は狛犬に訊きながら春の日ざしの石段の下 ( 目黒不動 )
≪ 特集 ≫
書架の一冊① 違星北斗の遺稿 『コタン』 村田俊秋
清水不泣 歌集 『海鳴り』 大家 勤
来嶋靖生 『歌人の山』 今村朋信
高野公彦 歌集 『流木』 山田栄子
吉野秀雄 『吉野秀雄全歌集』 中田慧子
書架の一冊② 石川啄木 『石川啄木集』 髙橋知義
山上次郎 『斎藤茂吉の恋と歌』 酒井敏明
北海道新聞社 『美しき独断―中城ふみ子全歌集』
浅野大愚
≪ 寄稿 ≫
最近の総合誌より ― 西井 健治 ―
歌ができるとき ― 西出 嘉壽子 ―
中山周三の歌一首鑑賞 『陸橋』から
― 後藤 まゆみ ・ 戸田 京子 ―
扉 ― 斉藤 弘子 ―
【原始林札幌本社歌会中止のお知らせ】
5月24日(日)の歌会は、新型コロナウイルス感染予防のため中止します。
6月の歌会は原始林誌でお知らせします。
また、5月の吟行会も中止となります。
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