2020年4月号の誌面より
≪ 連載 ≫
歌集散策 花山多佳子歌集『 鳥影 』(1) 井原茂明
花山多佳子は「塔」の選者であり、父は迢空賞歌人の玉城徹、長女も歌人の
花山周子である。『鳥影』は花山の第11歌集である。
日常のごくありふれた事柄に軸を置き、花山流の薄い「隠し味」を施していることに
特徴があると思う。
今回は2回に分けて『鳥影』の紹介をさせていただく。
この家に兎は老いてゆきしかば背のとがりをただ撫づるのみ (うさぎ)
指先に操る機器を人々に恵みたりジョブズ氏は痩せほそりつつ (恵む)
菊芋にも彼岸花にも石蕗にも「救荒」の記載あり草木辞典に (恵む)
冬晴れのつづきて道に薄氷のはることもなし 鶺鴒あるく (人類のカプセル)
天敵のなきゆゑヒトの赤ちやんは大声に泣き何もできない (街川)
さみどりの欅の高きこずゑより四十雀の声するどくくだる (胸の高さに)
≪ 特別企画 ≫
風土の歌 「留萌地方」 千葉 悦子
≪ 特集 ≫
「災害の歌」を読む 岡本 優子 佐々木 信子
≪ 寄稿 ≫
書架の一冊 カン・ハンナ歌集 『まだまだです』 ― 有田 絢子 ―
最近の総合誌より ― 中野 正幸 ―
歌ができるとき ― 足立 幸恵 ―
中山周三の歌一首鑑賞 『陸橋』から
― 髙橋 克枝 ― ― 堀 昭子 ―
扉 ― 阿部 キミ子 ―
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