「原始林」の誌面より(2022年4月)

2022年4月号  

原始林省受賞作品 「 花柄の傘 」    竹内 いく子

  晩秋の雨に花柄の傘ひらき裡のくらきに身は包まるる

  桂木の落葉散り敷く一ところ無数のハートは地に還りゆく

  庭の空せばむる木蓮を伐らむかと思へば白花あふれて咲けり

  平等に刻はすぎゆくに哀楽は人らの上に均しからざり

  物言はぬ憂さに折りたる紙ヒコーキ大きく曲がり飛びてゆきたり


≪ 連載 ≫

      歌集散策             井原 茂明

          

  高野公彦歌集 『 水の自画像 』 ( 3 )

          高野公彦は宮柊二に師事し今は「コスモス」の編集人であり朝日歌壇の選者である。

          工業高校を卒業し職に就いていたが退職し、東京教育大学文学部に学んでいる。

   

          歌集『水の自画像』は高野の第十六歌集であり2019年1月(令和元年)から

   2021年5月(令和3年)までの作品群で構成されている。今回は3回めを紹介する。


           びようびようと霧速彦は肱川の水面を走り海へ吹き出づ    (ふるさと伊予)

           清女、紫女良けれど歌は和女が良し蛍の闇に立ち尽くす人   (  分霊  )

           雨に負け風に負けつつなほ生きてわれは詠ふよ生きてゐる歌  (  〃   )

           忠敬はなんば歩きをしたといふ速くて疲れないその歩き    ( なんば歩き  )

           退屈の日々は安穏の日々にして天・地・人を統べてゐる〈時〉(あめ・つち・ひと)

           ページ繰れば本の中より起こる風天衣の風のごとく優しき   ( 天衣の風 ) 


≪特別企画≫

   風土の歌  「石狩地方の歌」  

             福浦 佳子    東 十八子

≪ 特集 ≫

   「私の気になる歌人」

        丹羽 雅子   「杉崎 恒夫」

        たまだ 裕子  「若山 牧水」

          

≪ 寄稿 ≫

  最近の総合誌より     髙橋 知義

  中山周三の歌一首鑑賞  『陸橋』から

               松野 孝  小林 明美  川崎 明美

  歌ができるとき      大谷 征子

       扉            工藤 紀美子

        

【【原始林本社歌会のご案内】】

  日時    4月24日(日) 午後1時

  ところ   厚別区民センター 会議室A(厚別中央1-5)

  詠草    雑詠 1首(ハガキ)

  送り先   004-0022 札幌市厚別区厚別南1-14―10―703

        一井 美香

  連絡先   090-7657―5111 (ショートメール限定)

  締切    4月20日(水)厳守(土曜、翌日配達がなくなりました。

                    余裕をみて詠草をお送り下さい)

  会費    300円

   初心者の方も遠慮なくご参加ください

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