2021年9月号の誌面より
原始林七十五周年記念大会詠草
原始林七十五周年記念大会ご案内
原始林七十五周年記念誌 原稿募集(追加分)
≪ 連載 ≫
歌集散策
石牟礼道子歌集『海と空のあいだに』 ( 1 )
石牟礼道子が短歌を始めたのは昭和18年、16歳のときだった。数年後の
エッセイを記述する。「短歌は私の初恋。常に滅び、常に蘇るもの。短歌はあと
一枚残った私の着物。このひとえの重さを脱いで了えば私は気体になってしまう
でしょう。今暫くこの薄衣につつまれて私を育みたい」。
そして、石牟礼が短歌を離れたのは昭和40年、38歳のときである。その事由
のひとつは、歌誌「南風」の歌友である志賀狂太の自裁であり、もうひとつが、
水俣問題に関わりはじめて、前途の容易ならざることが予想されてきたこと、
また短歌的表現では言い尽くせない、ということが見えてきたからだという。
今回は、『海と空のあいだに』及び、未収録短歌を含めて四回に分け紹介する。
ひとしきりはしゃぎて君は帰りゆく野菊の花の夕映えのいろ (冬の山)
この秋にいよよ死ぬべしと思ふとき十九の命いとしくてならぬ ( 〃 )
いつの日かわれ狂ふべし君よ君よその眸そむけずわれをみたまえ (満ち潮)
白き髪結はへてやれば祖母の狂ひやさしくなりて笑みます ( 〃 )
かたはらにやはらかきやはらかきものありて視れば小さき息をつきゐる(道生)
三つ葉芹わらび石蕗よめ菜ぐさ摘みてたのしわが生計は (道生)
≪特別企画≫
風土の歌 「オホーツク」 吉田 靖子
≪ 寄稿 ≫
最近の総合誌より 福浦 佳子
歌ができるとき 滝野 正子
初めて作った歌(141)
中山周三の歌一首鑑賞 『陸橋』から
竹田 絹子 たまだ 裕子
* 九月原始林札幌本社歌会は、新型コロナウイルス感染症蔓延により会場が使用できず、
中止となりました。
* 10月17日の原始林大会が開催されるか否かはコロナ禍の状況また、自粛要請等の
条件を鑑みて9月末ごろ決定の予定です。
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