2020年12月号の誌面より
≪ 連載 ≫
歌集散策 柳宣宏歌集 『 丈六 』(2) 井原茂明
柳宣弘は「まひる野」に所属する歌人で『丈六』は第三歌集である。2015年から
2019年までの作品を収録しているが、今回は二回目について紹介する。
2017年
空つぽの回送なれば大型のバスはひかりを満たして走る ( きぶしの花 )
蟹が吹く泡のごときが坐禅する脳にあふれてくるのであつた ( 坐禅 )
楽しかりしこの十年と聞きしかばわれはも泣かゆこゑを殺して
( 島田修三夫人告別式 )
2018年
瑞泉寺の山より出でし真実は曲がりくねつた自然薯である ( 仮住まひ )
得るもののなにものもなき海に来て満ち足りてゐる海の空気に ( 秋の浜 )
舟虫よ元気でゐるか怖がりしひとり娘も嫁に行つたよ ( 秋の浜 )
≪ 原始林誌上短歌大会 ≫
互選高点歌
1位 スーパーの帰りの道に庶民から抜け出す予定の宝くじを買ふ (竹田絹子)
2位 天上の君に便りを書くやうにみそひともじに現世をしるす (三浦公佐子)
3位 爪ひとつ自在に切れぬもどかしさ眼鏡ぬぐひてまた指を見る (足立幸恵)
4位 仰ぎては触れては木立の中に佇つ吾も懸命に生きゐる老樹 (中田慧子)
入れ替はる数十兆個の細胞を私として生きる可不思議 (磯石真理)
選者選五首評 選者五名の選歌
運営委員会中止に当たって 大家 勤
≪ 寄稿 ≫
最近の総合誌より 松野 孝
栗原文雄歌集『濤沸湖』を読む 上澤 孝二
歌ができるとき 川口 雅子
中山周三の歌一首鑑賞 『陸橋』から
松嶋 佐知子 駒田貴子 髙橋美千代
初めて作った歌 (133) 津田 明子
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【 原始林札幌本社12月歌会開催のお知らせ 】
日時 12月27日(日)午後1時 会議室 B
ところ 厚別区民センター(厚別中央1-5)
詠草 雑詠 一首(ハガキ FAX可)
送り先 069-1342 長沼町東町北1-3-14
千葉 悦子 宛
☏ ・FAX 0123-88-4212
締切 12月23日(水) 厳守
歌会費 300円
※通常は第4日曜日に開催。初心の方も遠慮なくご参加下さい
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