2025.08.28 09:04「原始林」の誌面より(2025年8月)2025年8月号 ≪ 連載 ≫ 歌集散策 井原茂明 小島ゆかり『はるかなる虹』(5)小島ゆかりは1956年生れ。コスモス短歌会の選者、編集人。『はるかなる虹』は第16歌集である。2020年歳晩から2024年新春までの作品のなかから468首を収めている。今回はその(5)について紹介する。スリッパやコンセントにも霊が棲む秋なり翳と光はおなじ (なにも還らず)おもはない事も大切たらちねをおもへばかなしみにまつしぐら ( 焼 肉 )マンホールの蓋の重さの冬の月 人は孤独にきまつてゐるさ ( 〃 )窓けぶる雪の朝はなまなまとからだのなかに心臓がある ( 心 臓 )フランスパンをレタスざくつとはみだして...