2025.06.17 03:04「原始林」の誌面より(2025年6月)2025年6月号 ≪ 連載 ≫ 歌集散策 井原茂明 小島ゆかり『はるかなる虹』(3) 小島ゆかりは1956年生れ。コスモス短歌会の選者、編集人。『はるかなる虹』は第16歌集である。2020年歳晩から2024年新春までの作品のなかから468首を収めている。 今回はその(3)について紹介する。 落葉にふりつつまれてこんなにも老いぼれてわが愛する母あり (真冬のシンフォニー) クリスマスのラウンドケーキもう買はず真冬のシンフォニーが聞こえず ( 〃 ) 〈よみがへり日和〉と言はん冬の陽のさんさんとけふ父に会ひたし (よみがへり日和) 水桶のしじみ身じろぐ気配してつやつやと濃き大寒の月 ( 蜆 ) ベ...