2024.12.23 06:49「原始林」の誌面より(2024年12月)2024年12月号 ≪ 連載 ≫ 歌集散策 井原茂明 吉川宏志歌集 『雪の偶然』 ( 4 ) 吉川宏志は1969年生れ。宮崎県出身。塔短歌会主催。前川佐美雄賞、寺山修司 短歌賞などを受賞。歌集『雪の偶然』で第58回迢空賞を受賞。2015年から2022年 までの作品、555首が収めてある。今回はその(4)である。夕影の貼りつく襖を抜けてゆく ふりかえったら母がいない ( 放生院 )しばしばも隠されて来し『アッツ島玉砕』見つ黄土色の死を (藤田嗣治展その他)白舟のように女はねむりおり画家の年譜にその死短く ( 〃 )思い出すたびに夕陽が透けてくる楤の芽を母と摘みし...