2024.08.12 07:35「原始林」の誌面より(2024年8月)2024年8月号 ≪ 連載 ≫ 歌集散策 井原茂明 森垣岳歌集 『遺伝子の舟』 (4) 森垣岳は「ヤママユ短歌」に所属し、兵庫県の農業高校の教師である。 第二回現代短歌社賞を受賞している。歌集『遺伝子の舟』について紹介する その(4)である。 骨董の猫の目 深いモノクロの夏の記憶につながりゆけり (ビジネス基礎) 百円に売られし金魚の尾びれから粘りの強き波が生まれる ( 〃 ) 不協和音のごとく消えゆく商店の明かりのなかを家まで帰る ( 〃 ) 水槽のモロコの群れに日の射して欠点補充の生徒を照らす ( 解剖学 ) 明日には明日の体 新しき朝の光を浴びるべく寝る ...