2024.07.26 22:19「原始林」の誌面より(2024年7月)2024年7月号 ≪ 連載 ≫ 歌集散策 井原茂明 森垣岳歌集 『遺伝子の舟』 (3) 森垣岳は「ヤママユ短歌」に所属し、兵庫県の農業高校の教師である。 第二回現代短歌社賞を受賞している。歌集『遺伝子の舟』について紹介する その(3)である。 さむざむと職員会議終えし日に日暮れの色のらんちゅうを買う ( 生物1 ) 売られゆく黒毛和牛の内にあるシャットダウンの後のくらやみ ( 〃 ) 箱舟に乗れぬ種族の末裔がおまえであると言われたようだ ( 生物Ⅱ ) けんけんぱ 道に書かれし輪を飛んで けんぱ けんぱで家に帰りぬ (家庭科妻帯) まひるまの家に白菜きざむ音 見知らぬ...