2023.02.21 13:58「原始林」の誌面より(2023年2月)2023年2月号 ≪ 連載 ≫ 歌集散策 井原 茂明渡辺松男歌集 『牧野植物園』 ( 3 )渡辺松男は「歌林の会」の会員であり、迢空賞をも受賞した実力派歌人である。『牧野植物園』は渡辺の第十歌集であり、2016年の作品集である。コロナ禍以前の作品になる。多くを記憶と想像で詠んでいるというが、その想像の部分にどこまで近づけるか、そして納得できるかがたのしみでもあり怖さでもある。今回はその三回目の紹介。 駝鳥の卵が天で割られたやうな陽ががんがんと照り真夏熊谷 ( 炎暑 ) めがねにはめがねの空が青くあり死にてからゆくところの広さ ( 空 ) 石狩川海へ入らむと盛りあがり...