2022.10.23 13:24「原始林」の誌面より(2022年10月)2022年10月号 ≪ 連載 ≫歌集散策 井原 茂明 小島ゆかり歌集『 雪麻呂 』 (2) 歌集『雪麻呂』は小島ゆかりの十五冊目の歌集である。2018年夏から2020年秋までの作品のなかから、451首が収めてある。今回はその(2)について紹介する。母の食ささやかに焚く春暁をノートルダム大聖堂燃え上がりたり (大聖堂炎上)貧困のこどもを救う金ならず富豪の寄付金一千億円 ( 〃 )欲望の色ならねどもいちめんのなのはないろに眼が眩みたり ( 紀元前 )黄昏は深海に似て誰のこゑも遠いなあ時が透きとほるなあ (毛づくろひ)秋天にきんこんかんこん鐘が鳴るきんもくせいの香の鐘が鳴る (...