2022.09.19 00:45「原始林」の誌面より(2022年9月)2022年9月号 ≪ 連載 ≫ 歌集散策 井原 茂明 小島ゆかり歌集『 雪麻呂 』 (1) 歌集『雪麻呂』は小島ゆかりの十五冊目の歌集である。2018年夏から2020年秋までの作品のなかから、451首が収めてある。今回は三回に分けて紹介する。椎の花にほへば夏の雨が来るだれかわからぬ人肌のあめ (人肌のあめ)ひざかりをゆらゆら母とわれゆけりたつた二人のキャラバンに似て(キャラバン)あさがほの明日咲く花どれかしら夜空にひそむ死者たちの指 (あさがほ )剥落はやさしきものか人生のいつからとなくなにからとなく (ブランコ )風にあさ風のひる風のよる かぜの四肢くきやかに見ゆる武蔵野 (特...