2020.04.13 11:23「原始林」の誌面より(4月)2020年4月号の誌面より ≪ 連載 ≫ 歌集散策 花山多佳子歌集『 鳥影 』(1) 井原茂明 花山多佳子は「塔」の選者であり、父は迢空賞歌人の玉城徹、長女も歌人の 花山周子である。『鳥影』は花山の第11歌集である。 日常のごくありふれた事柄に軸を置き、花山流の薄い「隠し味」を施していることに 特徴があると思う。 今回は2回に分けて『鳥影』の紹介をさせていただく。 この家に兎は老いてゆきしかば背のとがりをただ撫づるのみ (うさぎ) 指先に操る機器を人々に恵みたりジョブズ氏は痩せほそりつつ (恵む) 菊芋にも彼岸花にも石蕗にも「救荒」の記載あり草木辞典に (恵む) 冬晴れのつづきて道に薄氷のはることもなし 鶺鴒あるく (人類...