「原始林」の誌面より(2022年12月)

2022年12月号  

≪ 連載 ≫

  歌集散策                 井原 茂明

          

渡辺松男歌集  『牧野植物園』 ( 1 )


渡辺松男は「歌林の会」の会員であり、迢空賞をも受賞した実力派歌人である。

『牧野植物園』は渡辺の第十歌集であり、2016年の作品集である。コロナ禍以前の作品になる。多くを記憶と想像で詠んでいるというが、その想像の部分にどこまで近づけるか、そして納得できるかがたのしみでもあり怖さでもある。今回は四回に分けて紹介する。


ラッシュアワーにしまはれてゐる鏡の数鏡がしまふ眼光の数      (  鏡  )

いま牡丹剪りしはたれか一瞬を新幹線はその音の中          ( じかん )

卯月の夜ふはつとうかび銭函とふさみしいところに降りしともし灯   (  駅  )

麦穂波くぐりてくぐりてなほゆけどくぐりやまざる救急車の音     ( 救急車 )

皺くちやの細目の奥のかなしみのその奥のおく虚空燦燦        ( 老 い )

悟りなどなきこと悟るごとくゐる変な老いにて麦わら帽子       (  〃  )


≪原始林大会≫

   原始林大会の記      田家 万里衣

   大会に参加して   一井 美香   小林 正子  水谷紀生  明 美智子

   互選高点歌評       加藤 幾予乃  

   選者選五首評   

                     

≪ 寄稿 ≫

   最近の総合誌より        中田 慧子

   初めて作った歌 (154)   川崎 明美  

   歌ができるとき         黒川 雅陽

   中山周三の歌一首鑑賞  『陸橋』から

                   長田 直美    千葉 悦子  

        

【 原始林本社歌会のご案内 】

  日時    12月25日(日) 午後1時                  

  ところ   厚別区民センター 会議室A(厚別中央1-5)

  詠草    雑詠 1首(ハガキ)

  送り先   004-0022 札幌市厚別区厚別南1-14―10―703

        一井 美香

  連絡先   090-7657―5111 (ショートメール限定)

  締切    12月21日(水)厳守(土曜、翌日配達がなくなりました。

                    余裕をみて詠草をお送り下さい)

  会費    300円

   初心者の方も遠慮なくご参加ください

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