「原始林」の誌面より(2022年6月)

2022年6月号  

第23回 中山周三賞受賞作品   「 冬の日 」  長田 直美

   真夜中の銀色の雪と静寂に冴え冴えと母の死は重なりぬ

   人はみな定命ありて生まるると母言ひをりしが救ひとなりぬ

   幸せな夢を見てゐたやうな日々写真の母と私が笑ふ

   冬の日の澄みとほる空の静けさに溶けこみ母はわがうちに生きる

   目覚めれば光はあまねくおよびゐてわれの心もほのぼのとあり

  

   次点作品   「老鶯は山に帰らず」   髙橋 知義

   佳作     「 開拓へ 」      岩本ハルエ

          「道産子」考       駒田 貴子

          「この冬」        三浦 公佐子

          「明照院」        石崎 知恵

≪ 連載 ≫

  歌集散策     井原 茂明

  高野公彦歌集 『 水の自画像 』 ( 5 )

   高野公彦は宮柊二に師事し今は「コスモス」の編集人であり朝日歌壇の選者である。

   工業高校を卒業し職に就いていたが退職し、東京教育大学文学部に学んでいる。

   

    歌集『水の自画像』は高野の第十六歌集であり2019年1月(令和元年)から

   2021年5月(令和3年)までの作品群で構成されている。今回は5回めを紹介する。

   

   永劫を見る眼と思ふ孫次郎この面賜びし人すでに亡く    (「カノン」の迷路)

   秋涼しわれさまよひて楽しめりパッヘルベルの「カノン」の迷路  (  〃 )

   金星よりひとすぢほそき光来て朝の青をひらく露草        (  〃 )

   侮蔑語のニュアンスのあるガラケーのその静寂を身ほとりに置く(ガラケーの静寂)

   お母さんぼくは生きたい雨あとの月夜の空の虹を見るまで   (自称・ネムラー)

   老いたれば〈眠る人〉となり気兼ねなく仕事の合間にひとり昼寝す (  〃 )

              

≪ 寄稿 ≫

  最近の総合誌より      松野 孝

  歌ができるとき       部田 百合子

  

  初めて作った歌 (148)   佐藤 美幸

  中山周三の歌一首鑑賞  『陸橋』から

      木下 英子  石崎 千惠  市川 朱美

             

【 原始林本社歌会のご案内 】

  日時    6月26日(日) 午後1時

  ところ   厚別区民センター 会議室A(厚別中央1-5)

  詠草    雑詠 1首(ハガキ)

  送り先   004-0022 札幌市厚別区厚別南1-14―10―703

        一井 美香

  連絡先   090-7657―5111 (ショートメール限定)

  締切    6月22日(水)厳守(土曜、翌日配達がなくなりました。

                    余裕をみて詠草をお送り下さい)

  会費    300円

  ★初心者の方も遠慮なくご参加ください

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