「原始林」の誌面より(2025年10月)

2025年10月号  

≪ 連載 ≫

      歌集散策          井原茂明 

 永井陽子歌集『なよたけ拾遺』


 永井陽子は1954年生れ。2000年死去、享年48歳。歌集に『樟の木の歌』、

『ふしぎな楽器』,『モーツァルトの電話帳』、『小さなヴァイオリンが欲しくて』

などがある。『なよたけ拾遺』は永井陽子二七歳のときの歌集である。

若くして父を失い、母と二人の暮しの中、私性を遠ざけ非日常の世界に韻を刻む。

石川美南編の『永井陽子歌集♯』より選びだした。今回はその(1)について紹介する。


 いつの世の昔語りの竹の里 をさなきひとのまみに照る月   (なよたけ拾遺)

 わがかげをわれらたがひに見失ふ野にほうほうと春を呼ぶこゑ (  〃   )

 逝く父をとほくおもへる耳底にさくらながれてながれてやまぬ(さくらながれて)

 てのひらの骨のやうなる二分音符夜ごと春めくかぜが鳴らせり(  〃    )

 そのうすき気管に風があたるゆゑ生きてゐる冬の夜のきりぎりす ( 黄蝶  )

 やみに棲めばわれらひたすらこのくにの月の夜ごとに書くものがたり

                     (とこやみのくにのものがたりより)

≪ 特別企画 ≫

   風土のうた「北海道の歴史のうた」(川)

                 上澤 孝二

≪ 特集 ≫

   身体感覚の歌

                 一井 美香

≪ 寄稿 ≫

最近の総合誌より

      村田 正則

歌ができるとき

      米倉 克彦

初めて作った歌 (180)

      生出 隆亮

       

中山周三の歌一首鑑賞 『陸橋』から

          水谷 紀生     浅野 大愚

                  

【 原始林本社歌会のご案内 】

*10月本社歌会は原始林大会がありましたので休会でした。


11月歌会は下記のとおりです。

  日時    11月23日(日) 午後1時

  ところ   厚別区民センター  視聴覚室

  詠草    雑詠 1首(ハガキ)

  送り先   004-0022 札幌市厚別区厚別南1-14―10―703

        一井 美香

  連絡先   090-7657―5111 (ショートメール限定)

  締切    11月19日(水)厳守(土曜、翌日配達がなくなりました。

                    余裕をみて詠草をお送り下さい)

  会費    300円

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